深澤真紀

「草食男子」は、私が2006年に名付けたものだが、「消極的」というネガティブな意味で使われることが多い。「男として頼りないし情けない」などと、評判も悪い。 しかし、実は「恋愛やセックスにがつがつせず、女性とも対等な関係を持て、家族や地元を大事にする若者」というほめ言葉だった。それがいつの間にか「女性がもてないのも車が売れないのも、みな草食男子のせいだ」とすっかり悪者になってしまった。 「恋愛しない」と言われるが、「恋人がいるか」という調査では、バブル期の1987年も、2010年も20%程度とその数は変わらない。「性経験があるか」に至ってはバブル期から増えている。 「内向き」とも言われるが、1985年に日本人留学生は1万5000人程度しかいなかったが、2012年で6万人程度と4倍もいる。アメリカに行く留学生の割合が減っただけで、さまざまな国に留学していて、むしろグローバルになっているのだ。また「消費しない」とも言われるが、きちんと調べてコストパフォーマンスのいい物を買う、「見栄消費」をしない賢い消費者になっている。さらに犯罪も交通事故も加害者になる若者の数は減っている。バブル期に日本の女性の生き方が多様化したように、長い不景気の日本で男性の生き方も多様化したのだ。